京都発 情報ファイル

台北・国立故宮博物院の展示会と慰安婦像の取材
この9月、台北の国立故宮博物院で開かれた中国・唐〜明代の大家の名を題した高水準の偽物の書画を集めた異色の展示会と台南市の中心街に建立された慰安婦像の取材で現地に赴きました。国立故宮博物院での展示会は直筆と偽物と称される作品を並列で見せるなど珍しい企画です。例を挙げると仇英の「漢宮春暁図」本物と仇英とされる「百美図」。偽物と申しましても市場では人気があり、そのニーズに応えて蘇州を中心にニセモノが多数作られ、これを「蘇州片」と呼び、清朝皇帝は何度も江南を訪れ、ニセモノを受けとったと言われています。会場には100点もの作品が並び、素人には判別しがたく混乱するものばかりです。台南市の慰安婦像は現在野党「国民党」支部の一角に建立されたもので2名が存命とのことです。ただ日本の右翼団体の一人が像を足蹴にしたとか、そのそぶりを見せたとか。少し問題となりましたが、台湾国内では大したニュースにはなっていません。また、この像の南、道路を挟んで戦前からあった日本百貨店があり、レトロ調の百貨店として市民に親しまれており、台南市の台南市のシンボル的存在となっています。築90年屋上には当時の社が残り、内壁には戦争中、アメリカ機の機銃掃射を受けた跡が保存されています。戦中、戦後の人たちにはそれぞれの感慨があることでしょう。