2002年10月3日 午後9時配信
よみがえる御菩薩焼
晋六陶房

 北区にある国の天然記念物「深泥池」。「みどろがいけ」と読まれることが多いのですが、正確には「みぞろがいけ」と読むことは以前このページでご紹介した通り。この池には菩薩が棲むという伝説から、かつては「御菩薩」と書いて「みぞろ」と読み、一帯は「御菩薩村」と呼ばれていました。この池周辺から現在の左京区幡枝町にかけては多くの窯跡があり、かなり古い時代から土器の製作が行われていたと伝えられています。江戸時代までは「御菩薩焼(みぞろやき)」と呼ばれる陶器があり、あの野々村仁清も御室に窯を築く以前は、「御菩薩」を製陶していたという話も残っているほど。しかし、良質ではありながら、大きな粘土層がないこの地は量産に向かず、「御菩薩焼」はいつしかすたれてしまい、現存する陶器も数えるほどしかありません。
 陶芸家・辻勘之(かんじ)さんは、幡枝町に自窯を構えてから自らの作品を「平成みぞろ焼き」として発表されてきました。使用する土は信楽や愛知などの府外のものでしたが、「清水焼でもないので、平成みぞろ焼き」と呼んでこられたそうです。しかし、現在、辻さんの工房「晋六陶房」で開催中の個展「洛北の目覚めた粘土の詩展」に並べられた50点は、御菩薩の土を御菩薩で焼いた正真正銘の「御菩薩焼」です。
 今回使用した粘土は、地元の区画整理事業で近所の水田が掘り起こされた際にでてきたもの。水田の所有者が辻さんに声をかけ、1トンの土を精製すると、高温で焼いてもひずみの少ない陶芸にふさわしい粘土になったそうです。焼きあがった陶器の風合いも府立総合資料館などに現存する「御菩薩焼」とそっくりになりました。辻さんは「地元の土だからこそ、昔の御菩薩焼が再現できた。自らの作風をいかしながら伝統ある御菩薩焼を新しい京焼として発展させたい」と語っておられます。
ところ 晋六陶房(左京区岩倉幡枝町)
電話 075-721-3770
HP http://www.shinroku.com/
交通 叡山電鉄鞍馬線「精華大学前」南へ徒歩約10分
     
◎洛北の目覚めた粘土の詩展
10月15日(火)まで 10:00〜17:00
入場無料