2002年10月7日 午後8時配信
里帰りの「黄不動」特別公開
曼殊院

 京の町を見下ろす一乗寺の小高い山の上にある曼殊院は、もともと最澄の草創による比叡山西塔北谷にあった東尾坊が始まりです。現在の位置にあるほとんどの建築物や庭園は、江戸時代初期、良尚法親王が修学院離宮に近いこの土地に同院を移した際に造営されたものです。春の躑躅(ツツジ)や、秋の紅葉が美しい庭園で知られる同院ですが、良尚法親王の見識と創意に満ちた建築物は江戸時代初期の代表的書院造りで、大書院、小(こ)書院、親王自らの筆による「媚竈(びそう)」の額がある庫裡などは国の重要文化財にも指定されています。
 同院では、9年間にわたってこれらの建築物の修復作業が行われてきましたが、今年6月、その作業が無事終了しました。そのことを記念して、国宝として京都国立博物館に保管されていた平安時代後期の「不動明王像」を約半世紀ぶりに里帰りさせ、5日から特別公開しています。
 同像は、縦168cm、横80cmの絹本着色の仏画で、天台密教の祖である智証大師こと円珍(816〜891)が修行中に感得した姿と伝えられるもの。一般には、青い色をした童子の体つきとされている不動明王ですが、この不動明王は黄色い体で、筋骨隆々としたたくましい姿で描かれており、異形の「黄不動」として知られています。貴重な国宝であるため、保管が難しく、公開は27日までの約3週間だけですが、博物館のガラス・ケース越しではなく、あるべき場所でこの像を直に拝める47年ぶりの貴重な機会となっています。26日にはバイオリン奏者らによる記念コンサートも予定されており、憤怒の形相の「黄不動さん」が、どことなしか嬉しそうに見えるのは、ただの気のせいでしょうか。
 このほどの修復で再現された来賓用の厨房「上之台所(かみのだいどころ)」も、今秋は特別公開されていますが、こちらは庭園が赤く色づく12月1日まで拝観可能となっています。
ところ 曼殊院門跡(左京区一乗寺竹之内町)
電話 075-781-5010
交通 市バス「修学院道」徒歩約15分
     
◎不動明王像(黄不動)特別公開
10月27日(月)まで 9:00〜17:00
拝観料:大人500円 高校生400円 中小学生300円
◎黄昏コンサート「弦楽三重奏の響き」(バイオリン:梅原ひまり)
10月26日(日) 16:30開演
当日券:3500円、前売券:3000円
お問い合わせは上記電話番号まで
◎上之台所特別公開
12月1日(日)まで