2002年10月8日 午後8時配信
十石舟
伏見

 万葉の時代、すでに「巨椋の入江と響むなり 射目人の伏見が田居に 雁渡るらし」と詠まれていた伏見。現在の京都市南部に広がっていたという巨椋池の伏水流を湛える水の都として、「伏水」とも表記されていた町です。大阪の淀川から、宇治川、そして角倉了以が発展させた高瀬川運河へと続く水路は、京の都にとって交通の要衝であり、伏見は悠久の時間と、果てしない夢に挑んだ人々が行き交った港町でもあります。
 天下統一を果たし、伏見の金色に輝く城を中心に大坂と京都を結ぶ一大流通都市を開発した豊臣秀吉。主君・秀吉への忠義を尽くすため伏見に屋敷を構え、ここから天下を駆け巡った加藤清正。秀吉亡き後、大坂城と朝廷を監視するため伏見に君臨し、更なる商業発展のため、この地に日本最初の「銀座」を設置した徳川家康。負傷していた局長・近藤勇にかわり「鳥羽伏見の戦い」の陣頭指揮をとった新撰組副局長・土方歳三。船宿「寺田屋」を定宿とし、ここへ続く水運で、京都、大坂、長州、長崎を行き来した坂本龍馬。日本の新しい時代を作った男たちにとって、伏見の水運は欠かせないものでした。
 また、伏見はその豊かな水を使った酒所でもあります。歴史を作った男たちや、伏見の酒を載せて水路を行き交ったのが三十石船。1998年、そのミニチュアを再現し、今や伏見の観光風物詩となっているのが「十石舟」で、毎年、春と秋、旧市街を流れる宇治川派流を運航しています。月桂冠大倉記念館の裏にある弁天橋から、三栖閘門手前までの間を往復する25分間のミニ航路ですが、かつての船着場、酒蔵が並ぶ町並み、寺田屋、角倉了以記念碑、三方にまたがる「であい橋」などを、水面から眺めることができます。柳の枝を揺らす秋の風を感じながら、歴史のロマンいっぱいの船旅はいかがでしょうか。
ところ 十石舟乗船場
    (月桂冠大倉記念館裏/伏見区南浜町)
電話 075-623-1030(伏見夢工房)
HP http://www.kyoto-fushimi.com/
交通 京阪本線「中書島駅」徒歩約3分
    近鉄京都線「桃山御陵前駅」約6分
     
◎十石舟運航
11月24日(日)まで (平日の月曜、悪天の日を除く)
9:30〜16:25の1日24便
時刻表等は、上記ホームページをご参照ください。