2002年10月11日 午後9時配信
美の裏方 山本之夫の表具展
池坊短期大学 むろまち美術館

 京都の伝統技術のひとつである「京表具」。一般の「表具」と、その技法や素材に特段の相違があるわけではありません。しかし、「京表具」という言葉には特別の響きがあり、技法や素材だけでは語りきれない歴史や文化の蓄積の上に育まれた美意識や気品が要求されます。ゆえに「京表具」の修業は、「言葉では表現できない付加価値」の追求であるともいわれています。
 京表具師として50年にわたって、数々の名画や名書の表装作業や国宝などの修復作業に携わってこられた山本之夫さんの作品を展示する「美の裏方 山本之夫の表具展」が、今日11日から、池坊短期大学むろまち美術館で始まりました。書画の魅力引き出す掛軸表装に使われる織地や風帯などの簡潔で優美なセンスはもちろんのこと、同展で目を見張るのは、折り目やシミで痛んだ作品の修復技術です。大正から昭和にかけて独特の美人画で注目された岡本神草(1894-1933)が、大正9年、創作に苦心したあげく切断してしまった後、昭和63年になってから発見された断片を合わせて修復した「拳(けん)を打てる三人の舞妓の秀作」や、ある展覧会場で金箔部分に1メールもの亀裂が生じてしまったという秋野不矩(1908-2001)の「ガンジス河畔の少女」などが、山本さんの手によって、まるで何事もなかったかのような堂々たる作品として息を吹き返しています。
 会期は前期と後期に分けて展示品の入れ替えが行われ、土田麦僊、小野竹喬、小松均、富岡鉄斎、横山大観、竹内栖鳳、伝源順など、山本さんが手がけた作品約30点ずつが出品されます。そうそうたる作家たちの美術品はもちろん、「言葉では表現できない付加価値」を追求する山本さんの「職人技」を、ぜひ、この機会にご堪能ください。
ところ 池坊短期大学むろまち美術館
    (下京区四条室町鶏鉾町)
電話 075-351-8581
交通 地下鉄烏丸線「四条駅」
    阪急京都線「烏丸駅」
    市バス「四条烏丸」とも に下車すぐ
HP http://www.ikenobo-c.ac.jp/muromachi/
     
◎美の裏方 山本之夫の表具展 京都展
前期:10月16日(水)まで
後期:10月18日(金)から22日(火)まで
時間:10:30〜17:00
観覧料:一般300円、学生200円
◎東京展
とき:10月26日(土)、27日(日)
10:00〜17:00
ところ:東京美術倶楽部(東京都港区新橋6-19-15)
電話:03-3432-0191