2002年11月18日 午後9時配信
糺の森の楓と鴨長明の方丈
下鴨神社

 今日は、今からでも間に合う、隠れた紅葉の名所をご紹介しましょう。そこは、下鴨神社の「糺(ただす)の森」。本殿南側に平安時代以前から広がる約36,000坪の原生林で、古代の山城国の名残をとどめている自然環境とされ、国の史跡であり、同神社全体が世界遺産にも指定されています。写真をご覧になった方は「落ち葉はあるけど、紅葉はしていないじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、今、緑の葉を残している樹木の大半が、実は楓(カエデ)なのです。
 カエデというのは、葉が「蛙の手」の形に似ていることからこの名がついたカエデ科カエデ属の植物の総称で、日本には十数種あり、大半が「モミジ」と呼ばれているのです。紅葉の美しさで代表的イロハモミジ類なのですが、この中にもいくつかの種類があり、昔から、「糺の森」のカエデは、この地域のモミジの紅葉が終わってから、色づき始めます。つまり、この森が赤く染まるのは11月末から12月初旬にかけて。御手洗川と泉川の二つの小川が流れるこの森では、その時期に小雨が降ると、雨と川の水の温度差により一帯に薄い霧がたちこめ、原始の森の霧霞の中に紅葉が浮かびあがるという神秘的な世界となります。
 「糺の森」の中にひっそりとある河合神社は、下鴨神社の社のひとつで、下鴨神社禰宜長の家柄に次男として生まれた鴨長明にゆかりある神社です。公職から退いた後、転々と「栖(すみか)」を変えながら隠遁生活を送り、世の無常を綴った随筆「方丈記」で知られる長明ですが、「方丈」とは彼が、建物を移動させながら住んだ「一丈(約3m)四方」の簡素な庵(いおり)のこと。河合神社には、この「方丈」を再現した建物を見ることができます。
ところ 糺の森(右京区下鴨/下鴨神社内)
交通 市バス「下鴨神社前」すぐ
     
◎紅葉の見ごろ 11月末