2002年11月25日 午前11時配信
カンボジア・心と技の染織展
法然院

 熱帯モンスーンに位置するカンボジアのシエムリアップ。そこは、アンコール遺跡群で知られる通り、かつては広大な森林を育む自然の恩恵を生活に取り込んで偉大な文明を発展させた神々の国でした。しかし、中世以降のヨーロッパ的文明は、世界中の人類にとって飛躍的な発展をもたらしたと同時に、東南アジアの国々の自然やそこに住む人々の暮らしに、深い傷跡を残してきました。戦争や紛争で荒れ果て、今も地雷が残るカンボジアの森林は、ようやく平和が訪れたにもかかわらず、無計画な伐採が進み、新たな危機にさらされています。
 '83年、京都の友禅職人だった森本喜久男さんは、ラオス難民の織物学校の指導に訪れたタイの農村で日本に伝わった織物の原点といえる東南アジアの古い織物に出会い、その後、東南アジアの織物や草木染めの調査・研究に携わってこられました。そして、'95年、戦乱で途絶えてしまっていたカンボジアの絹織物と伝統養蚕を復興させるプロジェクトを単独で開始。村々を回りながら、経験を持つ「人間国宝級のおばあちゃんたち」を探すことから始めたというこのプロジェ
クトは、現在は「クメール伝統織物研究所」として発展。約150名の現地人が、シエムリアップで伝統産業の絣織(かすりおり)の復興にチャレンジしています。さらに森本さんたちは、絹織物や染織に欠かせない桑をはじめとする草木や昆虫が育つことができる自然を再生させる「伝統の森再生計画」にも取り組んでおられます。
 この活動の報告やクメール絣の展示販売を行う「カンボジア・心と技の染織展」が、22日から鹿ヶ谷の法然院で開かれています。「絹糸や繭というのは白いものだと、誰もが思っていますが、カンボジアの伝統的な繭は金色をしています。日本の三味線の糸を黄色に染めるのは、かつて、日本に入ってきた絹が金色だったことの名残ではないでしょうか。」と森本さん。織り方や色づかいだけではなく、宗教や思想はもちろん、衣食住のすべてにおいて、日本人が最も日本的だと信じている文化のほとんどが、カンボジアをはじめとする東南アジアの国々にそのルーツがあることを思い知らされます。
ところ 法然院 (左京区鹿ヶ谷御所ノ段町)
交通 市バス「上宮ノ前町」徒歩約8分
    市バス「浄土寺」徒歩約15分
クメール伝統織物研究所HP:
http://www.esprit-libre.org/iktt/
アジア太平洋農耕文化の会:
Tel.06-6304-7800(マイチケット内)

◎蘇れ、黄金の繭
〜カンボジア・心と技の染織展〜(京都会場)
11月25日(月)16:00まで
※伝統の森再生計画「桑の木基金」
アジア太平洋農耕文化の会では、カンボジアの伝統織物の復活と、それを包み込む自然環境を取り戻すための支援を募っています。
一口:3,000円
振込先:郵便振替口座
名称:アジア太平洋農耕文化の会
番号:00920-6-145894