関西プレスクラブ便り


同志社大学院教授の浜矩子さん講演



 エコノミストで国際経済学が専門の浜矩子さんが10月18日午後、大阪市北区のホテルで講演し、日本やドイツの総選挙から見えてくる国際政治について語りました。
 その要旨は、

「総選挙で大勝した小泉政権と11月に発足するドイツの大連立政権はそれぞれ弱点がある。小泉政権は小泉流の改革であり、ドイツの大連立政権は内部対立から強く思い切った改革は無理と見ている。翼賛体制的な小泉政権や政治均一性を求める体制の流れを止めるには様々な考えを吸い上げていく多様性が必要だ。」
‐05年‐



 浜さんは月刊文芸春秋の10月号と11月号に誰でもわかる経済教室(連載)と題して書いておられる。10月号では「ユニクロ栄えて国滅ぶ」とユニークなタイトルで書いておられるが、誠に辛辣な内容となっている。現在の安売り合戦は引いては企業、消費者、社会を更なる苦境に落とし入れ、デフレスパイラルに追い込んでいく。そこで、これを軌道修正しようとつぶれるべき金融機関や民間企業を温存し、不良債権を政府が肩代わりしているばかりではバブルの再燃を招く。メガバンクや大企業をつぶしてはならないという発想を止めるべきだ。そして、政治に経済は変えられないと説き、政治は経済を分析、それに対する役割が肝要だ。その意味では自民・民主両党のマニフェストは上記のことが欠落している。日本が抱える問題を明確に指摘して国民が歩むべき道筋を示すべきだとしている。
 つづく11月号では、グローバル恐慌についてふれ、グローバル化された世界経済は日常生活の中に深く溶け込んでいるために、かえってグローバル化の実態に気づかない。そこで、日本企業は日本経営の代名詞だった「年功序列・終身雇用」を維持できなくなってきた。この様な環境下では自分たちの住みやすい場所を育み、如何に生活していくか考えるべきだと説いている。次号以降が楽しみで具体的示唆にとんだ内容を期待している。
09年10月20日記
※衣料品の8月期中間決済ではファーストリテイリング(ユニクロ、ジーユー)は統益497億円となり一人勝ちの様相です。
(村田)