関西プレスクラブ便り


四代目坂田藤十郎講演
「雁治郎から藤十郎へ 上方文化の伝承」


 京都出身で231年ぶりに上方歌舞伎の大名跡である四代目藤十郎を継いだ人間国宝の坂田藤十郎さんが、6月13日午後大阪北区の府立国際会議場で講演。「雁治郎から藤十郎へ 上方文化の伝承」についてその思いを語りました。
 講演要旨は、
「ご承知のように歌舞伎には江戸歌舞伎と上方歌舞伎がございます。
 江戸歌舞伎は市川団十郎を始祖とし、形式・様式善を中心に勧善懲悪を主に上演して荒事と申します。
 しかも代々芸を受け継ぐという家を中心とする門閥を大切に致します。
 一方、上方歌舞伎は坂田藤十郎を祖として発展、演目も「色恋物」と申しますか、今日で云いますラブストーリーを中心としています。
 つまり、その芸を大事にする、その心を演じるを旨としますから、形から入る江戸歌舞伎と違い手とり足とり教えてもらえません。ですから下手な芸と烙印を押された役者は自分の子どもであっても襲名することはないのです。
 私なんか下手な役者で通り、扇雀(当時)はアカン!どうにもならんと云われたものです。そこで出会ったのが武智歌舞伎でした。17歳の時です。人生の幅を広げろ、人とのコミュニケーションを大事にしろなど社会人としての勉強から浄瑠璃の語りや音曲を徹底的にたたきこまれました。
 これが、今日の私が上方歌舞伎の復興を思う気持と坂田藤十郎を襲名した原点となっています。
 しかし、残念ながら大阪での公演機会が少なく、どうにも東京に偏っています。大阪を中心に関西での上演の機会が多く持てるよう努力して参りますので、皆さんの協力を願い度い。
 7月大歌舞伎を7月2日から26日、大阪松竹座で催します。
 これぞ上方歌舞伎の神髄たるところをお見せしたいと意気込んでおります。
 四代目雁治郎や五代目藤十郎は先程申しましたように芸が中心ですから息子が跡を継ぐとは限りません。
 この事を重ねて強調しておきます。」
この様に熱っぽく語りました。
(村田)