京都国立博物館で開かれている狩野永徳展について
同館保存修理室指導室長の山本英男さんの説明を聞く
現在、京都国立博物館で開かれている狩野永徳展について同博物館保存修理室指導室長の山本英男さんの説明を聞きました。
- この展示会は豊臣秀吉ら天下人に重用され、日本の美術史に輝かしい足跡を残した桃山時代を代表する永徳の回顧展で、国内外に残る名作を一堂に集めた展示は今回が初めての試みとのことです。
国宝5件、重文9件のほか新発見、初公開の作品などが展示されています。
信長、秀吉らに重用された永徳の絵は安土城や大阪城、聚楽第などの内部を壮麗に彩ったものの信長、秀吉の没落とともに消失してしまう。永徳自身も過労からか48才で亡くなり、現存する真筆は10〜20件程度といわれています。今回の展示には永徳の真筆をほぼ集めた上に、新しく真筆と認められた屏風「洛外名所遊楽図」が目を惹きます。中でも注目されるのが今回の展示のポスターにもなっている「唐獅子図屏風」です。
高さ2.2メートル横4.5メートルの六曲一隻でまことに雄大なる金碧大です。
ただ絵の手前、獅子の左前脚の下に余白が無く、また、左上の金雲の表現も不自然さが残ることなどから、今よりも一回り以上大きな壁張り付けの絵をはがして屏風にしたものではないかと山本さんは推論しています。さらには、この絵は秀吉の毛利高松城攻めの折の陣屋の床壁面にあったものだとも云われています。
会期は11月18日まで。
問い合わせは
同博物館 050-5542-8600(ハローダイヤル)へ
(村田)
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