関西プレスクラブ便り

自民党の元幹事長・野中広務さん講演

自民党の元幹事長・野中広務さんが1月17日午後、大阪市北区で「日本を憂う」と題して公演。自らの議員生活を通して得た経験や情報をもとに2時間にわたって熱弁をふるいました。その要旨は
「私は旧制中学校しか出ていない。国鉄職員から政治家として園部の町会議員を皮切りに町長、府会議員、副知事、そして、国会議員となり、その過程で幹事長、自治大臣、国家公安委員長、官房長官と要職に就くことが出来た。
 こうした中で私が一番ショックを受けたことがあり、これが政治家としての根幹となり、私の人生に大変な影響を与えた出来事があります。それは、私が国鉄時代に入社を推めた後輩が私の出自を暴露したことである。私は自分の出自を隠したり卑下したりなど一切ないのに、わざわざ職場でオープンにする必要はないと思った。これが俗に云う差別と云うものかと慄然とした。そこで、この職場を辞し地元に帰り、地域活動をすべく青年団に入った。この活動の中で島根の青年団で活躍していた後の総理大臣となる故・竹下登さんと知り合うことになるのだ。人の縁と云うものは不思議なものだ。国会に出ても色々な方々との縁と協力によって仕事に没頭出来ました。人間一人では何も出来ない。縁ある方々に対し今でも大いに感謝している。
 今、「改革」という名のもとにすべてが解決出来、世の中が万事能く行くとの風潮があることにいささか懸念をもっている。このことが拝金主義を生み格差社会を増成している。これでは国の発展はない。「日本は方向性」を失っている今こそ、国のあるべき姿を世観感をもって示すべきだ。外交問題にしてもアメリカ一辺倒では困る。心地良いキャッチフレーズだけで国を誤った方向へ導いてはいけない。政治家は官僚を旨く使いこなせるよう勉強すべきであって、国家公務員と政治家の接触を禁止する動きがあるが、官僚の専門知識を政治の道に生かしていくべきだ。政治家と官僚が切磋琢磨して、良き政策を立てるべきだ」
(村田)