大阪大学学長の鷲田清一さんが3月17日午後、大阪市北区のホテルで「成熟した市民とは」と題して講演しました。その要旨は
- 「大阪大学でもなにかと不祥事が重なり、謝罪記者会見に臨み頭を下げているが、私は心から謝っているつもりが、その意に反し態度が悪いとの評が出て来る。その都度大変悩んでいるのです。
記者の方からの質問も辛辣を極め、いますこし質問の仕方に注意して欲しいなとも正直思っている。マスコミの成熟したあるべき姿が必要かとも思っている。」とやんわりマスコミに注文をつけていました。
つづけて「大阪大学ではこの4月から新設する組織「21世紀懐徳堂」を中心に社会と連携した文化事業を進めていく考えです。つまり産学協同と同じく社学協同と呼べるもので、社会に責任を持って能動的に行動できる市民を増やしていきたい。
江戸時代に大阪商人が創設した学問所「懐徳堂」は、大阪大学創立の源流となっています。
当時の大阪は最先端の学問と商業が一体化し、文化のレベルも高かった。最近の社会風潮として世の揉め事でもすべて行政や企業にその責任を押し付ける傾向にあります。
これは豊かさを享受する一方で人々が自らの生活を律する能力を失っているからだと思っている。この様な社会を作ったのは自分達だとの意識、自覚が必要なのです。したがって「21世紀懐徳堂」の開設は、まさしく人間の品格や文化力の回復を願ってのことです」。
関連質問として小生が戦前戦後を通じ日本人の国民性と云うか民族性とでも申すか、学長の持論である「待つ姿勢」とは全く反対で攻撃性の強いホットなある意味では「躁」の強い民族ではないかと思う、という問いに対する返事は、哲学者らしい解りにくいものでした。
改めて学長を訪ね聞き直したいと思っています。
「追記」
大阪大学の残業代不払い問題で同大学は17日、教職員5423人について過去2年間の勤務実態を調べた結果、218に対し計1億660万円のサービス残業が認められたと発表しました。同日全額を支払ったとのこと。
大阪大学は昨年、労働基準法違反などで是正勧告を受けていました。
(村田)