チベット文化研究所の名誉所長ペマ・ギャルポさんが、4月21日午後大阪市北区のホテルで「チベット問題と日本」と題して講演。チベットの問題を歴史的に捉え中国との関係について熱っぽく語りました。
ギャルポさんは59年ダライ・ラマ14世に従いインドに亡命、少年期を難民キャンプで過ごした経験を持ち、'05年11月日本に帰化しています。講演の要旨は
- 「北京オリンピックを契機に中国は国際社会に対して開かれた国家であることをアピールしようとしているが、国内で知識人の拘束や人権問題は依然として最悪で、その期待は見事に打ち砕かれている。
その証拠は現在問題化している聖火リレーに見ることが出来る。逆に国際社会に中国の人権問題や仏教弾圧をクローズアップさせている。
その意味で、日本での聖火リレーに関し長野の善光寺が辞退されたのは仏教徒として賢明な判断だと思う。
チベットは歴史的に見て固有の領土であり、民族の自決の地である。中国は人口600万人のチベットを武力で制圧し、少数民族の同化政策を進めている。つまり将来2千万人の中国人を定住させる計画で、チベット人の伝統、文化を破壊しようとしている。
この様なことは国際的にも決して認められるものではない。経済政策中心ではその国の同化計画は不毛で、その国の風土・文化を認めない政策は長く続くものではない。さらに申せば昨年10月にダライ・ラマ14世がアメリカ議会で勲章を受けたことも中国が反発した要因にもなっていると思う。親中派とみられるブッシュ大統領やヒラリー候補などアメリカ国内の政治化をふくめ多くの有識者はこのチベット問題を憂慮している。
ダライ・ラマは中国の防衛や外交問題は中国に委ねるとさえ言っており、決して敵対行為をとってはいない。その証としてダライ・ラマは中国との対話を希望するとの発言を繰り返している。
長野での聖火リレーが混乱なく終わることを切に願っている」。
尚、ペマ・ギャルポさんはモンゴル大統領顧問(社会・文化担当)に就任されていることについて小生が質問。これに対しギャルポさんは言下にチベット同様モンゴルにおける中国の人権問題に取り組む必要ありと判断したからだ、と語りました。
(村田)