関西プレスクラブ便り

関西国際空港代表取締役会長の宮本一さん
「アジアの元気を関西に」をテーマに講演

関西国際空港代表取締役会長の宮本一さんが5月12日午後、大阪市北区のホテルで「アジアの元気を関西に」をテーマに講演。関西空港の現況と将来展望について語りました。その要旨は
「'03年に関空に勤めたが、当時アメリカの9.11事件や東南アジアを中心に流行ったサーズ問題で客足が伸びず苦戦を強いられた。
 その後第2滑走路オープンを契機に客足も伸び、24時間空港としての機能を持つことが出来るようになった。
 国際空港というものはお客さんに喜んで頂けるもの、そして国を支えるものであるのが持論である。今後、関空の目指す空港像というものは、第1にアジアそして世界と関西を結ぶゲートウェイであるべきだと考える。これには企業のグローバル化、観光ビッグバンに答える必要がある。東アジアを中心に細やかな利便性の高いネットワークを備える必要がある。
 第2に日本初の「国際貨物ハブ空港」になることだ。それには、アジアを中心に充実した貨物ネットワークを備えた西日本そしてアジアのゲートウェイになること。複数滑走路と完全24時間化によるタイム・オン・デマンドを実現した空港になること。アジアと欧米をつなぐ中継拠点となることなどである。
 以上の条件を満たすための努力をしており、その証左をあげると、お客様満足度については英国の調査会社「Skytrax」社によると第9位にランクされ、世界的な評価を受け我が国の空港で唯一4年連続ベスト10入りしている。
 貨物機能では2年連続1位となり、社債格付けでもムーディーズから最高位格付けのAaaを取得している、などである。
 関空の現況と将来については自信を持っていいし、それなりの努力を怠ってはいけない。訪日外国人の分析で目立つのは観光客全体のうち団体旅行が約4割、個人旅行が約6割である。
 訪日回数を見ると観光客全体のうちリピーター率は47.5%、訪日が初めてとなる観光客は中国や英国に多く、香港や台湾はリピーターが多い。こうしたデータを分析すれば関空の今後の対応策が見えてくる。
 これは関西という多彩な観光資源が存在しているからで、関西空港は成長するものだとの確信を持っている。ただ、大阪府が'09年度から年2億4千万円の支援金を打ち切るとしているが、これが実施されれば他の自治体や国の援助にも影響を与える。支援金は航空会社の着陸料の補助などに充てられているものだ。関空の経営に影響を及ぼすだけでなく関西全体の経済にも大変な打撃となる」
(村田)