関西プレスクラブ便り

奈良・薬師寺の管主の山田法胤さん講演

奈良・薬師寺の管主の山田法胤さんが、3月29日午後大阪市北区のホテルで「歴史から学ぶ日本の心」と題して講演。奈良県で開催中の平城京遷都1300年祭りにふれ語りました。 その要旨は、
「1300年祭のマスコットの“せんとくん”を指して何もせんとくんと揶揄されているが、そのままの奈良を観て頂ければよいと思っている。本当の意味での天皇と称される時代は奈良時代からで、毎朝、民の竈突(かまど)の煙を観るのが日課とされるなど、飢え死にしない国造りを目指し、国体を考えられました。そして奈良時代の天皇は天地の命令として律令制度、つまり、法治国家を造られた。今日のように、文明文化の恩恵を受ける世になって、逆に人の心は荒んできたようだ。生きることは苦しい事で、四苦八苦というように日本人は苦から出発したため感謝の心をもって生きてきたと思う。

・四苦=生病老死
・八苦=愛別離苦、怨憎会苦

西洋では不平不満を解消することから出発している。経済の発展でものがあふれる今こそ感謝の気持ちを持って自然の英智から学ぶべきだ。丸い心で人が変わると見方、考え方が変わる。さすれば、よい意味で、世の中が違って見えてくるものだ。 その過程から、明日の日本の生き方が自然にみえてくるのだ。」
(追記)
講演後の筆者との雑談、
「講演の中で、何もせんとくんの話が出たが全く同感だ。今の京都を見てください。サクラやモミジのライトアップ程度は良しとしても、年中ライトアップ。しかも、本堂や庭全体を照らし天高く光を掲げて慈悲の光と称して拝観料をとっている。観光客はきれいだ、美しいと喜んでいるが、これは宗教活動ではない。仏教は21世紀最大の成長産業であるといわれる所以だ。」

山田管主
「奈良の仏教は葬式なし墓なしと言われる程だ。話の中で申したように、平城京遷都1300年祭は、そのままの奈良の姿を見て頂くのが大事で脚色してはいけない。 私の師でもあった高田好胤さんは辻説法を重ねて皆さまからの浄財を10数年かけて頂き金堂の再建を果たされた。私は今後も、その教えを守っていきます。」

2010.03.30(村田)