政治学から転身した蒲島郁夫・熊本県知事が大阪で8日、定例会で「政治学者と知事の間で」をテーマに講演しました。
その要旨は、
「熊本には進学校として優秀な高校がありますが、私は田舎の鹿本高校を卒業し、地元の農協の職員となり、豚の精子の研究を続けてきました。その後、機会があってアメリカ留学、そして東大教授となり、政治家を目指し知事に当選しました。つまり、精子から政治への転進です。
知事選出馬時には、能力なし、財力なし、組織なしの三無しでしたが、運はあると自分に言い聞かせて自分の言葉で戦いました。政治には、選挙戦から始まるもので当選して早速知事の給料月額124万から100万カット、1期の退職金ゼロを打ち出しました。これは、お金のための政治家であっては県民の信頼は得られないからです。また、当選と同時に川辺川ダムの白紙撤回を表明。水俣病の即時解決、これには全国でのロビー活動を積極的に行って、特措法の成立となりました。学者の話は誰も聞いてくれないが、知事が言うと「それならやろう」ということになります。政治家の言葉の大事さと強さを改めて感じています。政治家は運を呼び込む信念が必要で、そこに信頼感が生まれるものです。政治家を学び、政治家になってよかったと思っています。現職員には「皿を割ることを恐れるな」。つまり、失敗を恐れるなと説いています。
今後の課題ですが、単なる工場誘致ではなく、原子力に極力頼らない太陽光発電やLEDの地元増産を目指します。農業では、肥後米をたくさん食べてもらうため、コメパンの奨励に力をいれています。高齢化社会に向けて、健康な長寿社会を目指す施設を急ピッチで増設していきます。長寿を目指す人は是非、熊本に来てください。
また、熊本市を州都にした道州制を目指し、九州広域行政機構の創設を実現したい。これがためには、各県の知事との良き連携は勿論のこと、県と市が仲良く同じ方向を向いていくことが大事です。」
多く施策を提示して有言実行の知事らしい発言でした。
筆者質問
「多くの政策を打ち出し着実に実現されているが、1期4年では時間が足らないでしょう。どこかの知事(宮崎)のように、1期でどこかへ消えられては、県民にとっては困りものです。多選反対の知事と聞いているが、この際2期出馬表明しては如何、言いにくいでしょうが・・・。
蒲島知事
「これは言いにくいことで、この場で2期出馬表明となれば、熊本で大変なことになります。申し上げてきた事を一つひとつ確実にスピードをもって、実現すると申し上げておきます」
筆者質問
「九州新幹線の総工費1.5兆円と聞いている。この3分の1の5千億円は沿線自治体の負担となる訳で、各自治体の財政圧迫となるのでは」
蒲島知事
「関西方面を含め、観光客の呼び込みなど、経済効果を期待している。さほど心配はしていません」
ストロー効果で逆に関西地区に人が流れ、現に京都では修学旅行の倍増を目論んでいます。九州へ九州へと草木もなびくか、模様ながめとしよう。
2011.4.8(村田)
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