国際変動研究所理事長で軍事アナリストの小川和久さんが6月21日夜大阪同志クラブの定例会で講演しました。 テーマは「巨大地震・原発事故と国家の危機管理」です。その要旨は 「危機管理の要諦は拙速を重んじることです。上手で遅いよりも下手でも早い方が良い。多少は雑であっても早く対処することです。つまり走りながら考えることが必要です。その意味では今回の地震や原発問題については首相官邸は機能しなかった。官邸に司令塔チームが存在しなかったということです。政権が代ったといっても阪神・淡路大震災の教訓はどこへ行ったのかと申したい。
私は3月11日、福岡県の久留米で講演していました。地震の速報が入り次第、かなり大きいとの情報で福岡第四師団では、直ちに情報収集にあたり、出動体制を整えたのです。東北地区現場での対応は割合旨くいったと思うが、国の対応がダメでした。これが今でも多面にわたって続いている。残念です。復旧、復興には相当時間を要する訳で、今からでも遅くない早く体制を固めて欲しい。何もかも国の対応は後手後手です。安倍内閣時に提唱された国家安全保障問題も現内閣では俎上にも上らなかった。基本的には官邸に10人規模の司令塔チームを設置してヘッドは危機管理専門家で自衛隊、警察、消防、海上保安庁などの運用に知見をもつ人材です。私はかねてから当局に対し再三提案してきましたが、実現を見ず、この度の事件でやっと気がついたと思う。危機管理は国内にとどまらず国際的、外交的にも重要視すべきで、この辺が現内閣のウィークポイントです。何事も初動3時間以内が鉄則で、今後の大きな宿題です。原発事故もスマトラの大津波の教訓が生かされず、津波と大火は人智で克服できるもので、対応できる津波ビルを作る思想、哲学が求められるのです。危機管理は世界に通用しなければ不合格です。民心の安定も含まれます。ハードだけの問題ではなくこれが出来ない現状は世界の笑いものです。何故5年間のベーシックインカムを導入しないのか。具体的に申せば、5年間毎月大人12万円、18歳以下5万円、住居無料、集団農場や集団漁業などを創設して再起を図ることです。このベーシックインカムがあればこれからの人生計画が立ち、希望を失わないで済むのです。これも危機管理で申す民心の安定につながるのです」。
2011.6.21(村田)
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