関西プレスクラブ便り

京都大学の山極寿一学長が講演

京都大学の山極寿一学長が2月12日大阪市内で、「コミュニケーションの進化 と大学教育」と題して、講演しました。人類学が専門でゴジラの研究者として知 られています。講演の要旨は、

「力の優劣で序列をつくるサルの社会に対し、人間は進化の過程で食物を分かち合うとする「共食」の能力を高めてきました。これは、ゴリラも共食、共感の能力を持っており、遺伝子的にはゴリラと人間の違いは2%ともないのです。この共食の能力の発達で人間は発達しています。ところが近年、インターネットの普及でネット依存が増え、他者との交流がヘタで共感力の限界と申しますか、信頼関係の構築力が喪失し、「サル化」が進んでいると危惧しています。これは言 葉を使ってのコミュニケーションの欠落を意味します。したがって大学の教育は 自由なる学風を認めながら、対話を重視する他者への思いやりが出来るグローバ ルな人材の育成に心掛けていきたい」と語りました。

<筆者質問> 54、5年前京大担当時代、アユの研究で知られた宮地伝三郎さんと親しくな り、アユの研究現場へ同行取材をしました。その中で宮地さんは、「アユは進化 も退化もしない」これが研究の成果ですと笑っておられました。そこで人間社会 のサル化傾向は、一部人間の退化とみていいのか。
「これは重い質問ですね。他者との対話能力の喪失傾向は退化という側面をもっ ていると思う。」
※名刺交換時間程度の時間であり、今後時間を作り、国立大学の法人化に伴い文 系より理系に予算配分が多くなっていると嘆く文系教授の声についてその考えを 聞くことにしたい。

2015.02.12(村田)