関西プレスクラブ便り

元文化長官の近藤誠一さんが講演

7月19日、大阪で開かれたプレスクラブの定例会で元文化長官の近藤誠一さんが文化庁の京都移転にふれ、「その意義と今後の課題」について語りました。その要旨は、

経済や安全保障問題は国が主導し、文化芸術問題枠外に置くという風潮がある。これは戦後経済復興を目指した傾向の名残です。早くこの流れから脱する必要がある。その意味でも文化庁の京都移転は充分意義がある。誰もが心豊かさを求める気持ちはある訳で文化的基盤のある京都に文化庁の移転が決まったことはタイミング的に良い。東京一極集中から長官が地方に移ることは国が提唱する地方創生にも叶うことになり、今後は東京と関西(大阪・京都)という両眼思考で施策をとって欲しい。京都だけがメリットを受けるという印象を与えることは排除すべきだ。短所には移転費用や国会対応、関係団体、外国政府とのコンタクト減への危惧する。その意味でも短期間で目に見える成果を出し、京都以外にも受益者を増やすことが重要です。早く移転が実現することが鍵となります

2015.11.25(村田)

注:文化庁が京都に移転するのは国が決めたとはいえ、当然とする風潮が京都にあり、早くも文化庁の職員が山田知事から叱責を食っています。「政治が決めたことをやるのは事務方の仕事だ。東京目線では困る」と。これは設置場所の決定は地方行政と馳文科相との間に意思統一されない。しかも人員配置を含む、予算や組織の説明がないことへの不満の表れです。「日本に京都があってよかった」とする中華思想もどきの発想があり、文化庁移転が国の主導権をにぎる事への不満をも垣間見ることが出来ます。
「ワビサビの 京の都に カビもあり」