(一)
 平日でも人の往来が絶えることのない河原町通、修学旅行生の姿を毎日見かける新京極通。それに平行しているのが寺町京極商店街だ。明治28年7月から、大正15年7月までの31年間にわたって、寺町通には路面電車が走っており、京都のメインストリートとして賑わいをみせたのは、河原町通より寺町通であったという。

 寺町通の店舗が21世紀に向かって、『その方向を誤らぬ事』を願って設置したという羅針盤(コンパッソ)を足元に見ながら歩いていると、新しい店、昔ながらの店が入り混じって並んでいることに気付く。良質な店だけが残っていくという世の流れ通りなのだが、古き良きものと現代の文化との共存はなんとも京都らしい。

下御霊神社(左)
当初、出雲路にあり、御霊神社の南にあったことから下御霊神社と呼ばれるようになったといわれ、以後、社地を転々とし、豊臣秀吉の都市整備により当地に移転してきた。

行願寺(革堂)(右)
西国三十三ヶ所観音霊場の第十九番の札所。宝物館には、若い女性の幽霊が描かれている幽霊絵馬が展示されている。

次のページへ